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宇都宮地方裁判所 昭和44年(わ)160号 判決 1970年1月28日

本店所在地

宇都宮市桜三丁目二番四六号

株式会社宇都宮エースレーン

右代表者

福田昇こと姜進旭

本店所在地

宇都宮市江野町三、一二三番地

進明商事株式会社

右代表者

姜進旭

本籍

韓国全羅南道順天市梅谷里二八五番地

住居

宇都宮市江野町三、一二三番地

会社役員

福田昇こと姜進旭

大正一五年五月二九日生

右両会社ならびに右の者に対する法人税法違反各被告事件につき、当裁判所は検察官井口廣通出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。

主文

被告株式会社エースレーンを罰金六、〇〇〇、〇〇〇円に

被告進明商事株式会社を罰金三、〇〇〇、〇〇〇円に、

被告人姜進旭を懲役一〇月にそれぞれ処する。

但し、被告人姜進旭に対し、この裁判の確定する日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一、被告株式会社宇都宮エースレーンは、宇都宮市桜三丁目二番四六号に本店を設け、ボーリング場・食堂の経営等を目的とする資本金五、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人姜進旭は右被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、同被告人は、右被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの不正な方法によって、右被告会社の所得を秘匿したうえ、

(一)  昭和四〇年一一月一日から昭和四一年一〇月三一日までの事業年度において、右被告会社の実際所得金額が三四、二六七、二九七円で、これに対する法人税額が一二、一四一、一〇〇円であったのにかかわらず、昭和四一年一二月三〇日同市昭和二丁目一番七号所在の宇都宮税務署において、同署長に対し、欠損金額が五、三六七、九六九円でこれに対する法人税額が零円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、右事業年度分の正規の法人税額一二、一四一、一〇〇円を法定の納付期限に納付せず、もつて不正な行為によつて右同額の法人税を逋脱し、

(二)  昭和四一年一一月一日から昭和四二年一〇月三一日までの事業年度において、右被告会社の実際所得金額が六二、五九四、〇一二円で、これに対する法人税額が二一、五七六、〇〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四二年一二月二九日前記宇都宮税務署において、同署長に対し、所得金額が一、四三三、四七三円でこれに対する法人税額は二八八、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、右事業年度分の正規の法人税額との差額二一、二八八、〇〇〇円を法定の納付期限内に納付せず、もつて不正な行為によつて右同額の法人税を逋脱し、

第二、被告進明商事株式会社は、同市江野町三、一二三番地に本店を設け、遊技場の経営を目的とする資本金二、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人姜進旭は右被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、同被告人は、右被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの不正な方法によつて、右被告会社の所得を秘匿したうえ、

(一)  昭和四〇年六月一日から昭和四一年五月三一日までの事業年度において、右被告会社の実際所得金額が二九、九九三、三六五円で、これに対する法人税額が一〇、九一七、四〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四一年八月一日前記宇都宮税務署において、同署長に対し、所得金額が四、三七七、〇五六円でこれに対する法人税額は一、四三九、四九〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正な行為によつて右事業年度分の正規の法人税額と申告税額との差額九、四七七、九〇〇円を逋脱し、

(二)  昭和四一年六月一日から昭和四二年五月三一日までの事業年度において、右被告会社の実際所得金額が二一、五四〇、一五六円で、これに対する法人税額が七、三二九、〇〇〇円であるのにかかわらず、昭和四二年七月三一日前記宇都宮税務署において、同署長に対し、所得金額が三、七三五、一〇二円でこれに対する法人税額は一、〇九七、二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、右事業年度分の正規の法人税額と申告税額との差額六、二三一、八〇〇円を法定の納付期限内に納付せず、もつて不正な行為によつて右同額の法人税を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)

第一、判示全般の事実につき

一、遠藤喬、松谷誠の検察官に対する各供述調書

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、第一回公判調書中の被告人の供述部分

第二、(一) 判示第一の冒頭の事実につき

一、登記官佐藤弘二作成の登記簿抄本

(二) 判示第一の全般の事実につき

一、大蔵事務官の安達孫之進(四通)、吉田トシ子、渡辺義雄、小口美好、遠藤喬(証拠請求順序一四のもの)に対する各質問てん末書

一、遠藤喬(昭和四三年四月一六日付―以下四三、四、一六付と略記)、荒巻啓二郎(証拠請求順序一八のもの)、小口美好、浅野真(記帳簿三枚を含む)、鎌田康弘作成の各答申書

一、遠藤喬(四三、六、二四付)、松谷誠(二通〔四三、四、一九付、四三、四、二〇付〕)作成の各供述書

一、押収にかかる大学ノート四冊「一忘備録」と表題するもの二冊〔昭和四四年押第五四号の一、二〕、「レーン掃除布クリーニング控」と表題するもの一冊〔昭和四四年押第五四号の三〕、「<秘>」と表題するもの一冊〔昭和四四年押第五四号の四〕)

一、被告人作成の各答申書一〇通(四三、七、二六付〔証拠請求順序四五のもの〕、四三、八、五付二通〔証拠請求順序四六、同四七のもの〕、四三、八、一〇付四通〔証拠請求順序四九、同五〇、同五一、同五二のもの〕、四三、八、一九付、四三、八、二三付二通)

一、大蔵事務官の被告人に対する各質問てん末書五通(四三、四、一〇付〔証拠請求順序五七のもの〕、四三、六、一九付、四三、七、三付、四三、七、二四付、四三、八、九付)

(三) 判示第一の(一)の事実につき

一、大蔵事務官作成の各証明書二通(証拠請求順序二七、同四一のもの)、脱税額計算書(四三、九、三〇付検一)

一、国税査察官須田秀彦作成の法人税決議書(検一)、修正貸借対照表(検一)、修正損益計算書(検一)、「調査所得の説明書」と題する各書面綴(検一、検二)

(四) 判示第一の(二)の事実につき

一、大蔵事務官の金村相浩こと金相浩に対する質問てん末書(四三、七、五付)

一、平山源一こと申源沫作成の供述書

一、大蔵事務官作成の各証明書二通(証拠請求順序二八、同四二のもの)、脱税額計算書(四三、九、三〇付検二)

一、国税査察官須田秀彦作成の法人税決議書(検二)、修正貸借対照表(検二)、修正損益計算書(検二)、「調査所得の説明書」と題する各書面綴(検三、検四)

一、大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書(四三、八、五付、〔証拠請求順序四八のもの〕)

第三、(一) 判示第二の冒頭の事実につき

一、被告人作成の提出書(四三、七、二六付)

(二) 判示第二の全般の事実につき

一、大蔵事務官の福田こと渡辺輝子(三通)、板橋トキ、小磯修作、植松ミツ、高田善雄(二通)、松本政則(二通)、遠藤喬(証拠請求順序八五のもの)、裵東湖(四三、六、一〇付)、崔泳安(四三、五、一七付)に対する各質問てん末書

一、植松ミツ、小山武夫、入江弘一、小林降造、小瀧清、南勝、渡辺利雄、加藤米吉、小池嘉子(二通)、中村利雄、田村英男、松森正司、姜玉姫、葉山繁太郎こと尹赫孝、荒巻啓二郎(三通〔証拠請求順序一三八、同一三九、同一四〇のもの〕)、松谷誠(三通)、遠藤喬(四三、八、七付)、久野俊郎(四通)、小川徳三(二通)、津田三郎作成の各答申書

一、遠藤喬作成の供述書(四三、四、九付)

一、黒沢哲夫作成の証明書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(四三、九、一二付)

一、押収にかかる裏預金メモ一枚(昭和四四年押第五四号の七)

一、被告人作成の各答申書一一通(四三、五、一付、四三、五、一六付、四三、六、五付、四三、七、二付、四三、七、二六付二通〔証拠請求順序一九六、同一九七のもの〕、四三、八、一〇付四通〔証拠請求順序二〇〇、同二〇二、同二〇三、同二〇四のもの〕、四三、八、二九付)

一、大蔵事務官の被告人に対する各質問てん末書一一通(四四、四、九付、四四、四、一〇付〔証拠請求順序一七七のもの〕、四三、四、一三付、四三、四、一九付、四三、四、三〇付、四三、五、三付、四三、五、一六付、四三、五、一七付、四三、六、五付、四三、八、一〇付、四三、八、二三付)

(三) 判示第二の(一)の事実につき

一、大蔵事務官清水寅男の藤男の藤岡辰治こと趙淵湜に対する質問てん末書

一、金桂善、松田昭二、姜進赫、高田善雄(四三、七、二五付)作成の各答申書

一、松谷誠作成の供述書(四三、五、八付)

一、大蔵事務官作成の各証明書三通(証拠請求順序一五八、同一五九、同一七二のもの)

一、国税査察官牧山利雄作成の法人税決議書(検一)、修正貸借対照表(検一)、修正損益計算書(検一)、「修正貸借対照表勘定説明書昭和四一年五月三一日」、「修正損益計算書勘定説明書自昭和四〇年六月一日至昭和四一年五月三一日」と題する各書面綴

一、被告人作成の各答申書三通(四三、七、二六付〔証拠請求順序一九八のもの〕、四三、八、五付〔証拠請求順序一九九のもの〕、四三、八、一〇付〔証拠請求順序二〇一のもの〕)

(四) 判示第二の(二)の事実につき

一、大蔵事務官の伊藤博、金村相浩こと金相浩(二通〔四三、四、三〇付、四三、七、五付〕)、千田炳秀こと千炳秀に対する質問てん末書

一、金村相浩こと金相浩、上原金之輔、高田善雄(四四、七、五付)作成の各答申書

一、押収にかかる決算関係メモ一綴(昭和四四年押第五四号の八)

一、大蔵事務官作成の各証明書二通(証拠請求順序一六〇、同一七三のもの)

一、国税査察官牧山利雄作成の法人税決議書(検二)、修正貸借対照表(検二)、修正損益計算書(検二)、「修正貸借対照表勘定説明書昭和四二年五月三一日」、「修正損益計算書勘定説明書自昭和四一年六月一日至昭和四二年五月三一日」と題する各書面綴

(法令の適用)

被告両会社の判示各所為はいずれも法人税法第一六四条第一項第一五九条第一項に、被告人姜進旭の判示各所為はいずれも同法第一五九条第一項にそれぞれ該当するが、以上はそれぞれ刑法第四五条前段の併合罪であるから、被告両会社についてそれぞれ同法第四八条第二項により各所定罰金額を合算した金額の範囲内で、被告人姜進旭について所定刑中各懲役刑を選択し、同法第四七条本文第一〇条を適用し犯情の最も重い判示第一の(二)の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告株式会社エースレーンを罰金六〇〇万円に、被告進明商事株式会社を罰金三〇〇万円に、被告人姜進旭を懲役一〇月に各処する。ただし被告人姜進旭に対し同法第二五条第一項によりこの裁判の確定する日から三年間右刑の執行を猶予する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 須藤貢 裁判官 藤本孝夫 裁判官 折田泰宏)

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